昨日はAK4385とAK4393の中間の音だと書いたが、今から思えばそれは適当でない表現だった。
AK4393とAK4385が全然別物のように、AK4396もまた別系統の進化を遂げた今までと異なるDACと言える。
また音が湿っているので単純比較は難しいが、解像度はAK4393と同等かそれ以上に高い。
それでいてAK4393のように聴いてて疲れる感じはしない。
AK4396の出音の傾向として連想するのはドルビーサラウンド等のシアター系サウンドだ。
AK4393が平面的にアプローチしているのに対し、AK4396は空間的アプローチをしている。
これにより場面によっては音に高級感を出すことに成功している。
あと目立つ所と言えば、AK4393のように音をぐいぐい押し付ける感じではなく、繊細に響かせる感じ。
金物系の音で比べてみると音の傾向の違いが分かりやすい。
そういった意味ではAK4396は素の音というより、綿密に計算された音と言った方がしっくり来る。
とはいえ、これだけの音を出すのだから、DACに2万円を支払うのも仕方ないかなと納得してしまう面はある。
自分は旧モデルのAT-HA25Dの音を知らないが、wolfsonを採用していることからすると、おそらく現行機種よりも汎用性の高いモデルだったのではないだろうか。
音楽、映画、アニメ、様々な音をそつなく鳴らせるオールマイティな所が旧モデルの特徴だったのではないか。
一方、AT-HA26Dはかなり特徴的な音がする。
音楽はジャンルによってはフィットしないかもしれない。
あとはやはり低音の響きをどう評価するかだ。
この影響によりAK4393では出来ていた、中音域を一気に勢いで押し出すような表現方法はAT-HA26Dには不可能である。
これも推測でしかないが、低音に関してはAT-HA25Dの方が上手く処理できていたのではないかと思う。
AT-HA26Dに関しては曲全体の印象を変えてしまうレベルまで調整されている感じがする。
キックの音は曲の印象を決める上で重要であり、これに違和感があると評価を厳しくせざるを得ない。
まあ万民受けするキックの音を作るなんて土台無理な話かもしれず、それならその部分は妥協して他の部分のクオリティに力を注いだ方がいいと考えることもできるが。