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FOSTEX TH-7再レビュー
2016年 03月 30日 *
日常的にヘッドフォンをするようになってもう何年にもなる。
何種類もの機種を渡り歩いている訳ではなく、ある程度決まった機種を使用し、壊れても同モデルを購入している。
このスタイルにとって、機種が生産停止にならない事はとてもありがたいことだ。

ヘッドフォンにも機種ごとに特徴がある。
音のきめ細かさと空間表現はトレードオフの関係にある事に最近気づいてきた。
これは写真撮影における絞りの概念に似ているかもしれない。
全ての景色をくっきりはっきり写すには絞らないといけないが、そうなると景色の奥行きの表現に乏しくなる。
そこで、どこかにフォーカスを当てるようにすれば空間的な表現が可能になる。
音楽も同じで、全ての音をくっきりはっきり再生することもできるが、それが得意なヘッドフォンは一般的に空間表現が苦手である。
逆に、空間表現の得意なヘッドフォンは音の細部の表現が苦手である。

音のソースによっても空間表現が使われているものとそうでないものがある。
日々身の回りに溢れている音は大抵空間表現が使われている。

・空間表現が使われているもの
 TV番組、アニメ、一般に市販されている音楽

・空間表現が使われていないもの
 電話、呼び出し音、チャイム、ファミコンの電子音etc...

こうして見ると背景的にはステレオとモノラルの違いと一致する。
後者は豪華なスピーカーシステムは不要で、しょぼいスピーカーが一つあればその音源が何をやっているか十分に把握することができる。
むしろ環境がしょぼい方がマッチしているとさえ思う。

FOSTEX TH-7はどちらかというと一つ一つの音をはっきりくっきり再生するタイプのヘッドフォンである。
また感度がいいのでヘッドフォンアンプはなくてよく、iPodやスマートフォン環境でも十分に恩恵を受けることができる。
逆にPCでのASIO出力からのヘッドフォンアンプ再生では別の問題が出てくる。

問題の一つ目は、ヘッドフォンの感度がいいので、アンプ側の出力を上げすぎると入力過多になり割れ気味の不快な音になる。
でも感度がいいというのはそういうこと。
ポータブル機でも十分再生できているのに、この状態で例えばミキサーのゲインを上げると音割れするように、ヘッドフォンアンプでボリュームを上げると同じような事が起きてしまう。

問題の二つ目は、半開放型のヘッドフォンであるということ。
密閉型ヘッドフォンに比べ想像以上に外部の音を拾ってしまう。
このことはこのヘッドフォンの売りである音の繊細さの阻害要因となる。
よって屋外やファンの音が常時鳴っているPC環境再生下においてせっかくのメリットを享受できない。
ファンレスPCを用意できればいいのだが…。

スマホにつないで聞くのはいいが、スマホは大抵屋外で聞くことが多いので、半開放型ヘッドフォンでは十分な音質を確保できない。
結局のところ、このヘッドフォンが一番活躍できる場所は屋内でかつ騒音のない場所ということになり、限られた場でしか威力を発揮することができない。
まあ当然、音楽鑑賞ごときにそこまで突き詰めて考える必要はないというのであればあまり大きな問題にはなり得ないが。
by nochoice1 | 2016-03-30 21:38 *
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