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ブレードランナー(1982米)
2008年 05月 11日 *
この映画は一部マニアの間で非常に評価が高い。
SF映画の金字塔とも言われ、その後のSF作品に多大な影響を与える事になる。
掲示板で「いい映画を教えて」というスレッドがあり、この作品が何度も出てきたので自分も改めて観てみた。

この映画の魅力は
1.世界観
2.ストーリー
の2つに分けることが出来る。
ストーリーが進行するのは主に後半からで、前半は世界観の描写が多い。
ストーリーは様々な解釈が可能であるため、例えば10年前と今観た時と比較して違った印象になる場合もある。

自分は子供の頃に観た事があり、その時はストーリーがよく分からなかった。
他の単純明快にストーリーが進行する映画とは異なっていた。
今この映画を観て、作者が言いたい事の仮説を立てる事はできても、それはあくまで一つの見方に過ぎない。
また、事前に「ブレードランナーはすごい映画」という前提知識があるため、そこまで作品にのめり込めなかった。
何の予備知識もなく作品を見たら、自分もマニアになっていたかもしれない。
エロゲーをやろうと思ったら泣いていた。おれも何をされたのかわからなかった。頭がどうにかなりそうだった…みたいな。

マニアの間ではそれを語ることが楽しいのかもしれないが、25年前の作品とはいえ、細かいディティールはよく作られている。
ただし設定を知らなければ、降っているのが酸性雨ではなくただの雨にしか見えなかったかもしれないし、主人公のデッカードブラスターもただの拳銃にしか見えないかもしれない。

今回観て思ったことは、アルマゲドンなどのパニック映画は別として、この手のSF作品には救いがない。
主人公は一体何がしたいのか、終わりは何なのかが明確でない。
現代にも目的なく生きる人間がいるように。

作中では人間とアンドロイドを比較することにより、人が生きることは何かを描こうとしている。
最初はアンドロイドは不完全な存在だと印象づけるシーンがある。
人間とアンドロイドを区別するVKテストの存在や、後に出てくるセバスチャンにもレプリカントに向かって「お前、完全ではないな」と言う場面がある。
しかし後半につれてそれを覆すシーンが出てくる。
タイレル博士の「2倍の明るさで輝く炎は、半分の時間で燃え尽きる」という台詞もそうで、彼らは寿命を与えられているが、それは人間も同じである。
また、最後の方で狂った感じのレプリカントが主人公を襲うシーンがある。
レプリカントは主人公に死の恐怖を与えるために襲うのだが、最後にレプリカントはある行動に出る。
ここで映画を観ていた人は、「えー」と驚いてしまう。
レプリカントからしてみれば、人間の方が不完全な存在なのだ。
自分は奴隷のように働かされてきたけど、お前らは一体何をしてきたのか、と。
映画公開当時、将来ロボットが人間の世話をし、人間は豊かな生活を送る、みたいな未来予想図があったかもしれないが、これはそれに対する問題提起でもある。

主人公は基本的にダメ人間である。
日々酒を飲み、これといった目的もなく、強制されたことをしているだけ。
あれ、誰かと似てるような…という気がしてくる。
by nochoice1 | 2008-05-11 08:47 *
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