休日何もすることがない。
会社の人に聞くと、だいたいの人は趣味に時間を使い、趣味がなくてもパチンコに行ったりして時間を潰している。
どのように時間を潰すか。
いつからかそう考えるようになり、物事に対する見方が少し変わった。
よくCDのレビューに「心に残るフレーズがなかった」と低い評価が与えられるのを見かける。
だが、心に残らないフレーズならずっと聞いていたい。
30分のテレビドラマも何も事件が起こらないものを見たい。
ずーっとぼーっと、感情移入することなく、静かに時間が過ぎていけばいい。
なのに、その期待は裏切られる。
作品は、安定→不安定を繰り返すからだ。
ずっと安定状態なら、飽きることがないのに。
予想できなかったものを目にする時、不安定になる。
知らない方がよかったことが沢山ある。
知らなくていいことを知ってしまった時、それ以降、新たに耳を傾けなければならない声が一つ増える。
そうやって絡まった声に縛られると何もできなくなる。
何を見ても疲れてしまう。
表面的にはこの世界は素晴らしい。
それを素晴らしいと思えなくなった時から苦痛がはじまる。
現代の流行りでいう「癒し」の究極の形態は「死」なのではないかと思う。
一方、成功者と呼ばれる人たちも、案外欲しいものを手に入れてはいないのかもしれない。
成功は誰かの妬みを生み、自分の存在を危うくする。
いずれにせよ、生きたまま安定を求めること自体、矛盾しているのだ。