カレンダーの連休、あるいはわざわざ有給休暇を取得して計画的に旅をする。
どうしてわざわざ面倒なことをするのか。
住み慣れた家でじっとしているのが一番気楽なのに。
だが本当のところ、旅行で楽しみを見つけられたらどんなにいいだろうと思う。
新しい景色や新しい文化で刺激を受けたりして、思い出で胸が一杯に膨らめばどんなにいいだろう。
いま、仕事や食事や必要な目的以外で外出することがほとんどなくなり、それでも死ぬことはないと知った。
僕は日々よろしく生きている。
空想の中で自分は旅をしているのだと言い聞かせながら。
「旅行に行きたいな」
「そうなんだ」
「えー、行きたくないの?」
「いや、ちょっと面倒くさいなと思って」
「今度の夏休みに~に行くんですが一緒に行きます?」
「うん、行こうか!」
君がいなければ外に出ることはなかった。
君でなければ外に出ることはなかった。
僕は旅行に出るたびに思い出す。