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ヘッドフォン雑感
2016年 11月 20日 *
DENONのヘッドフォンと出会い、もう5年くらい経っただろうか。
他の人にとってはどうでもいい事かもしれない。
身の回りにあるのは常に音。
精神的に落ちている時は当然聞けないし、自由な時間もなかなか取れない。
でも世の中にこのような「音」があることを知ったのは、自分にとってはちょっとした事件であり、後に少なからず影響を与えた。

ヘッドフォンの音質を決定づけているのは「ドライバーユニット」と思いがちだが、実はハウジング周りによって音質は全く異なるものに変化する。
現段階で自分はこのように理解している。

リスニング系<------>モニター系
密閉 <------>開放
こもる <------>抜けがいい
心地よさ<------>迫力
混ざる <------>混ざらない

非常に大ざっぱだが、このように分けてみた。
手始めに脳内実験をしてみる。
運転席から車のドアを閉めると、どんな音がするか想像して欲しい。

高級車であれば「ボフ」という低くて穏やかな音。
軽自動車であれば「バン」という攻撃的で耳障りな音。

上記はあくまでイメージだが、実際当たらずとも遠からずだと思う。
高級車は遮音性が考慮されている。
そのためドアを閉めた時の音も「バタン」と大きな音ではなく控えめな音になる。
遮音性が高いという事は、車内の密閉度が高いという事でもある。
試しに窓を開けた状態でドアを閉めれば、窓を完全に閉じた時よりも大きな音になるはずである。

ヘッドフォンについても同じ事が言えるのではないだろうか。
ヘッドフォンは耳をすっぽり覆うタイプのものがあるが、イヤーパッドで耳を完全に覆ってしまえば耳とヘッドフォンの間に密閉空間ができる。
その空間内で大きな低音を鳴らしても、こもってしまうだろう。

密閉が悪いと言っているのではない。
むしろ密閉型こそがワンランク上の音を奏でる条件だと思っている。
だが、想定以上に出力レベルの高い機器に繋いだり、低音を強調し過ぎると音がこもる問題が出てくる。
それは曲中で音が一斉に鳴るような音圧が最も高い部分で顕著となる。

その関係を示したのが上の表である。
音の持つ豊かさというか、繊細さというか、何て表現したらいいかわからないが、とにかく気持ちいいと感じる音がある。
それには音と音が混じり合う要素が必要であり、そのためには空間内が囲まれている(有限に閉じた空間)必要がある。
しかし低音を上げればその分こもった音になってしまう。
音の抜けの良さと気持ちのいい音は、言わばトレードオフの関係にあって、その両方は同時に成立しない。
当たり前だが、音楽鑑賞を目的としたコンサートホールは屋内の閉じられた空間にある。

開放タイプは、戦争映画にあるような爆弾の炸裂音のような迫力は密閉よりも得意。
(屋外で実際に爆弾を爆発させるのがリアルとすると、リスニング系が奏でる気持ちのよい爆弾の炸裂音って…)
そして低音に寄っている曲を聴いていてもそこまで破綻しない。
これが密閉タイプだと音がこもる分、バランスが破綻してしまう。
きちんとミックスされた音楽であれば問題にならないのだが、TV等で流れる音声の場合、ミックスのレベルはばらばらである。
いきなり低音寄りの曲が挿入されることも十分起こり得る。
またヘッドフォンと繋ぐ機器によっても特性が変化する。
密閉型だとその時点で厳密に言えば調和の取れていない状態になる。
一方、開放型であればこのような状況になっても気にせずに聞ける。
また音が混ざらず他の音に埋もれにくいのでノイズを探すような作業に適している。

音が破綻しずらく迫力を出せる開放型はTV番組や音質が悪い動画サイトの閲覧には向いていると言える。
なので密閉寄りのヘッドフォンより、少し開放寄りのヘッドフォンを販売する方が現実的なのだと思う。
(ヘッドフォンとヘッドフォンアンプをセットで売りたいメーカー側の策略に乗せられていると言えなくもない。
一般的に密閉型のエントリーモデルとヘッドフォンアンプの親和性はそれ程高くないと思う。)
最近発売されているヘッドフォンのイヤーパッドがぬれ煎餅タイプが多いのはこのためだと思われる。
固いスポンジ+合皮のイヤーパッドは密閉度が高いが、それを生かし切れる環境は限定される。
そのため、しっとりとしたタイプのイヤーパッドを採用することで、密閉度は劣るものの、その分音の抜けを確保する。
国内で使用する限り、その方がオールラウンドに活躍できるヘッドフォンと言える。
ただし、ノイズチェックには有効かもしれないが、開放型は音の良し悪しをそこまで認識できない。(少なくとも自分には。)
それなりの音で破綻なく鳴ってしまうのでどれも大差ないように聞こえてしまう。

密閉型は、開放型の万全に環境を整えて鳴らした音の更にワンランク上の音という感じで、再生環境の良し悪しや音源ソースの良し悪しもわかる。
ただし音と音が互いに影響し合い、混ざりあうので、小さい音は溶けてしまう。
(はっきりとは知覚できない、カレーの中のじゃがいものような存在となる。)
by nochoice1 | 2016-11-20 23:42 *
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