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虚空間
2006年 04月 27日 *
3月末、引っ越しをした。
部屋さえあればどこでもよかった。
都心から離れた場所を選んだ。

健康を配慮して、5駅程離れた所の駐車場を借りた。
外食するために家から数十分歩かなければならない状況に自分を追い込めば、嫌でも健康になると思った。

現実は予想とは違っていた。
数十分歩いて外出する気にはなれず、ますます部屋にこもりがちになり、3日ばかり食事を摂らない日々が続いた。
最後の方は人心地がしなくなっていた。
人としての感情がなくなっていた。
でも、このやる気のなさは一体どこから来るのか、自分でもわからなかった。

こんな事は考える前からわかっていた事だが、スーパーの中で僕は浮いていた。
平日昼間スーパーにいるのは年金で生活している老人や主婦が多く、青年男子はおろか中年男性すら見つける事は困難だった。

途方に暮れた僕は、自販機の傍にあったベンチに腰掛け遠くの景色を眺めていた。
隣に目をやると、僕と同じ年くらいの男が座っていた。
ただその挙動からは、彼が知的障害者である事を窺わせた。
スーパーで買い物をする間、ここで待っているように言われたのだろう。

彼は言葉を発しなかった。
時々、人の行き交う姿を目で追ったりしていた。
そういう自分も、時々人の行き交う姿を目で追ったりしていた。
僕は自分が正常ではないのではないかという考えが浮かんだ。

川崎市の投げ落とし事件の容疑者が「自殺願望が他人に向かった」と供述しているというニュースがあった。
僅か10日程度でそんな結論が引き出せるなら県警も容疑者も立派だと思うが、そこまでの冷静さを持つ容疑者がなぜ犯行に及んだのかという疑問が残る。
ともあれこの容疑者の供述が印象的なのは、理由が最もらしいからだ。
心の闇が他の所に向かうのは、現実に起こり得る事だと思う。

骨が折れたら接骨院に行く。
刺創、割創、裂創、射創、咬創、色々あるけど、処置の仕方はだいたい決まってくる。
だが、心に異常がある人はどうやって治せばいいのだろう。
傷の深さをどうやって計ればいいのだろう。
ケガをした人を見ると可哀想だと思うけど、拒食症の人が痩せ細った姿は同様に可哀想だと思う。

それに比べて、自分は恵まれている。
だが、当たり前の事を当たり前に出来る人間になりたい。
by nochoice1 | 2006-04-27 11:44 *
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