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張り詰めた空気の中
2007年 07月 12日 *
通行人とは明らかに異なるオーラを放っている。
それなのに気にも止めずに歩いていく人達。
僕は無事に通り抜けるまでの間、戦慄せずにはいられなかった。

一人は歩道の曲がり角の真ん中に立っていた。
目出し帽を被り、下を向きながら口元に固定されたマイクに向かってぶつぶつ小声で喋っている。
彼は私服というより制服に近かった。
上下帽子とも紺に身を包み、立ち止まる訳でもなく、かといってそこから離れる訳でもなく、うろうろしている。
辺りが暗かったからまだよかったものの、もし昼間だったら上下紺色の服はともかくとして、口元のヘッドセットは目立っていたに違いなかった。

次の曲がり角の両脇に私服が二人。
二人ともイヤホンを装着していたのでわかりやすかったが、イヤホンは中年オヤジもよく着けているので一般人と違和感はない。
それに私服だから余計目立たない。
しかし、近接する二人が同時にイヤホンを装着する確率は少ない。
よって二人はいざという時道を塞ぐために配置されていると考えるのが妥当だ。
論理的に考えてもそうだったし、自分の知っている「日常」と空気が違うのを直感的に強く感じた。
大人が路上で立って煙草を吸っているのは普段どこにでもある、何でもない光景だが、彼らはその何でもない光景を仕事で創り出している。
大人は仕事をしている時、真剣な表情な顔つきになるが、彼らは何気ない日常を過ごしているようで、それは真剣さに裏打ちされた上で醸し出された、創られた「日常」だった。

真剣さは相手に伝わる。
言葉は関係ない。
逆に言えば、言葉であの真剣さを伝えるのは難しい。
その場に居合わせた者でなければ感じ取れないのかもしれない。

彼らの行動は明らかに「包囲」が目的であり、それがどんな理由によるものなのか、自分には何となく思い当たる節があった。
日常と非日常の境界を感じた瞬間だった。
by nochoice1 | 2007-07-12 22:36 *
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