人気ブログランキング | 話題のタグを見る
Top
FX業者アルファエフエックスが破産
2007年 11月 10日 *
例の件について少しだけ触れる。

新聞などで業者が「サブプライム問題の余波で損失を被った」とか、「顧客に多額の損失が生じた際、追加で証拠金を求める必要があったのに、顧客をつなぎ止めるために強く求めず、自社が多額の損失を被った」とか説明されているので、それを読んだ人は今回の件がサブプライムによって引き起こされたと勘違いしてしまうかもしれない。
それはまるで「FX業者は被害者です」と言わんばかりの書き方で、中には投資について全く知らない人が書いたとしか思えない記事も存在する。
この話をもう蒸し返したくはないが、それについてはどうしても反論したくなってしまう。

エフエックス札幌の件にしても10月17日のメールについて業者に問い合わせをした人は「サブプライム問題で起こった円高の際に強制執行の値が飛んで会社が損失を被った」と説明されたという。
しかしエフエックス札幌のHPにはこんな記載があった。

---
当社は日本の信託保全システムではなく、顧客の預託金が当該国の法律により信託保全されている海外のカバー取引先にお客様からのお預かり金を全額預託することにより、当社の顧客資産は保護されるシステムを導入しております。
当社も信託保全の導入を検討しましたが、お客様の預託金を振込み口座から信託口座に移すまでのタイムラグの発生、第三者による信託金残高の照合を毎日することの困難性、及び、信託銀行が保全するのは信託口座にある預託金のみであり、お客様からお預かりした証拠金が全額返還されないこともある等から、導入を見送ることとした次第であります。
---

上記文章には顧客の預託金はカバー先に全額預託していると記載されている。
それなのに強制決済が執行されたのはなぜか。カバー先全額預託の記載と矛盾するのではないか。
少なくとも業者が強制執行されたと説明した際、条件反射的にこれくらいの事は突っ込みを入れておくべきだった。
カバー先には顧客の預託金はほとんどない状況で、そのため強制決済が行われたのではないかと。

次に、11月5日金融庁から突然連絡が取れなくなったと顧客から通報があったと注意喚起が行われ、9日東京地裁で破産手続きの開始決定を受けたアルファエフエックスの件。

業者の説明。
「顧客に多額の損失が生じた際、追加で証拠金を求める必要があったのに、顧客をつなぎ止めるために強く求めず、自社が多額の損失を被った」

例えば100万円を預けた顧客が100人いたとすると、FX業者は合計で1億円を預かる計算になる。
しかし101人目の顧客の口座残高がマイナス1億円になり、FX業者がそのマイナス分を顧客から回収出来なかった場合、そのマイナス1億円は業者の損失となる。
そして業者が1億円を補填出来ない場合は顧客の預かり金が無くなってしまう。
このようなケースは全くないとは言い切れない。
101人目の顧客がFX業者自身だったというケースはよくある話だが。

顧客の誰かが損失を被って残高が巨額のマイナスになり回収出来なかったという与太話が本当だったとしても、そもそもロスカットをきちんと行わない業者で取引すべきではない。
そのマイナス分は体力のある業者なら業者の負担で済むが、体力のない業者なら、損失は他の顧客が負担する形になる。
実際、信用力のある顧客を優良顧客としてロスカットを行わないFX業者はいくつか存在する。
HPの取引要綱にはロスカットについて記載しておきながら。
確かに全員の顧客に対して適用しているとは書いてないが、一般の人は業者が顧客を選別し、優良顧客に対してだけはロスカットを無効にする措置を講じているとは夢にも思わないだろう。
だが実際に存在する。その業者は為替の国に住む相場の当たらないアフィリエイト王が必死に宣伝している中にも含まれている。

数あるFX業者の中で本当に体力のある業者がどれだけあるのだろう。
全額信託にしても、客が10億預けたら業者は10億を信託銀行に預けた上で客に10億円分の取引を可能にしなければならない。
その業者がレバレッジ300倍を謳っていたら更に資金が必要となる。
資金力のある組織がバックにいなければ全額信託など無理である。
そして全額信託は安全なのか。
仮に今きちんと保全が行われていたとして、それが継続的に適切に行われる保証が一体どこにあるのだろう。
by nochoice1 | 2007-11-10 18:45 *
<< 脱力 ページトップ 月の光 >>
The Original by Sun&Moon